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驚異の行動力! 『0.3点差不合格の絶望』を味わった男の仮面浪人物語

遠藤 和真
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遠藤 和真
東京大学工学部3年。仙台第三高等学校卒。一浪ののち理科一類に合格。 論理的思考力と、個々人の能力を引き出す洞察力が持ち味。 多趣味。文理問わず勉強。 最近はブロックチェーンに興味あり。 キャッチコピーは 「ワクワクつくって生きていく」

――充実が伝わってきますが、それで勉強の方は大丈夫だったんですか?

『友だちが周りにいないとメンブレする質なので、夏休み一人で勉強できる気がしなくて。それも海外に飛んだ理由の一つです。明治の英語特別強化プログラムや英語学習用自習室も充実していたので、夏までは大学の勉強という形で英語をやっていましたけど、それくらいでした。』

――受験にブランクは無かったですか?

『無かったと思います。忘れるだろうって思われがちですが、意外と忘れないものですよ。夏休みを終えて、むしろ未習分野の多さに気づきましたね。今まで英熟語とか古文の活用形とかをノータッチだったことに気がついて。「みんなが知っていることを知らない」って、たぶんこのことだなって。』

――それは逆にすごい(笑)

『やり残しを防ぐべく、和田秀樹さんの「新受験技法」を買って、Z会の熟語帳とマドンナ古文を徹底的にやりました。他科目については、英語リスニング以外は河合塾にいた時と同じスタイルで勉強していました。』

――英語のリスニングの勉強法というのは?

『問題自体は割と簡単なのに、試験本番の音声が赤本のCDとは全然違うから、普通にやっていたら対策にならなくて勿体ないと思ったんです。それで、「スピーカーの音量を最小にして、音声聞くのは一回だけ」という縛り練習をずっとやっていました。あとはTEDをとにかく聞きまくって、生の英語に慣れようともしていました。』

――予備校などには行かずに勉強されていたんですね。

『留学生サポーターで知り合った帰国子女の親友に英作文の添削を頼んでいた以外は、自学自習でした。毎日明治の図書館または市役所の自習室にこもって、授業があるときは出てって感じです。』

――授業はきちんと出ていたんですね。

『なんなら、今の方が出ていないくらいです(笑)。単位取らないなら仮面する意味が無いと思っていたので、明治ではGPA3.1で42単位取りました。明治に4年間通う場合、毎年GPA3をキープしていないと授業料免除契約が解除されるので、そこは必死でした(笑)。』

仮面中でも優秀な成績

――二浪ということは受験生のうちに20歳になるわけですが。1月はイベント盛りだくさんですよね?(笑)

『同窓会や成人式なんて行く気になれませんよ(笑)。「仮面浪人しなければよかった」って思ったのはその時だけですね。明治の繰り上げ試験、センター試験、東大本番レベル模試、明治の期末試験って感じで1月は終わりました。センター前日には昨年東大に受かった親友から「私は今もたいがさんと一緒に戦っている気持ちでいるからね、一人じゃないよ!」ってメッセージを貰い、安堵感の中で自己最高の851/900点を取れました。東進模試もB判で、昨年と同じ轍は踏まず、合格への道は順調に見えました。』

――むむ、とすると順調ではなかったんですか?

『全く順調ではなかったです。期末試験が終わると、明治の友人にめっきり会わなくなりリズムを崩して、メンタルもやられてしまいました。親や友人に病みLINE連打したり電話したり、高校の先生に相談しに行ったり3日間ぐらいご飯食べられなくなったり。本当に本当に周りに迷惑かけていました(笑)。今まではっきりとした成功体験が無いからか、克服の術も見えなくて。』

――そこからどう克服したんですか?

『「そういう風に運命論的に考えること自体が逃げなんじゃないの?」とある東大の親友からLINEで言われて、逃げている自分に悔しさが湧いたんですよね。それで勉強を再開できました。「ここで諦めたら今までの、自分が可哀想だと~」って歌詞があるSEKAI NO OWARIさんの「サザンカ」はよく聴いていました。一週間前にはウィルス性胃腸炎にもなりましたが、「ここで諦めて後悔するのは絶対に嫌だ!」と執念で乗り切りました。』

――試験当日は順調に行きましたか?

『数学で失敗してしまったんですが、他で挽回できました。リスニングは26点まで取れ、英語全体でも合格者平均を超えていてG2クラスに入れました。リスニング必勝法が功を奏しましたね。』

(編注:東大の英語一列という講義では、入試英語で上位1割の人をG1、上位2割から4割の人をG2、それ以外をG3と区分する)

――一番嬉しかったのは、合格した瞬間でしたか?」

『いえ、二次試験が終わった瞬間ですね。チャイムが鳴ってペンを置いた瞬間、「1年間やろうと思っていたことを全部やりきれたな」

って突然の充足感に満たされて。合否よりも、とにかく自分が1年間信念を貫き通せたことが嬉しくて。』

――受かった時は…?

『もちろん嬉しいですよ(笑)。応援してくれていた人を喜ばせる、あるいは仮面を隠していた人たちを驚かせるのはモチベーションの1つだったので、「やっと公にできる」喜びもありました。けれど、同時に「一浪で東大に行った自分を超える」のは、ここからが本当のスタートだなと強く意識しました。

――東大に入るということは、明大をやめることになったわけですが。

『正直キャンパスにも愛着が湧いていたし、寂しいものでした。けれど、「学んだこと」や「縁」は退学ごときで失われないと思ったし、明治の友だちもすごく喜んでくれて。一生続く縁だと思いますが、高校や東大以外にも心の拠り所があることには、ただひたすらありがたいことだなと思っています。』

浪人中の勉強の跡

――なるほど。今は東大で何をしているんですか?

『東大ドリームネットと、川人ゼミで活動しています。高校の部活や明治での仮面浪人を通して、周囲に驚きや感動を与えることがすごく楽しいし幸せだなって思うようになって。「自分の行動で人を動かす」ことの楽しさが、ドリームネットの活動なり、パート長をしている川人ゼミの活動なりに活かされているのかなと思っています。秋学期は軍縮についてのゼミとか学外のファシリテーション講座とかにも挑戦しています。』

――仮面浪人を考えている人へひとこと。

『仮面浪人は、自分や周囲の「大学には行こうという思い」と、自分の「諦められない思い」とを無理やり同時にかなえる「ウルトラC」だと思っています。僕はラッキーでしたが、受験勉強の仕方や大学での人間関係で苦労する人も多いはず。「自分がやりたいことが、本当に志望大学でしかできないか」をじっくり考えて選んでほしい選択肢です。』

――厳しいメッセージですね。

『安易にするものじゃないなって実感しましたから(笑)。一方で、背水の陣で何かに熱中する経験は一生忘れられない思い出になるし、正直「コンテンツ力」もめっちゃ上がります(笑)。仮面浪人も「百人百色」のやり方があるので、「他人にはない」経験ができるのも魅力ですね。すべての浪人生が仮面浪人した方がいいなどとは思いませんが、すべての仮面浪人生を応援しているつもりでいます。』

おわりに

最後までお読みくださりありがとうございました。私たち『東龍門』は、東大生ならではのノウハウを活かし、受験や勉強に役立つ情報をTwitterでも発信しています。よかったらチェックしてみてください。また、質問などもお気軽にどうぞ!

執筆:三浦康太郎

編集:遠藤和真

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東京大学工学部3年。仙台第三高等学校卒。一浪ののち理科一類に合格。 論理的思考力と、個々人の能力を引き出す洞察力が持ち味。 多趣味。文理問わず勉強。 最近はブロックチェーンに興味あり。 キャッチコピーは 「ワクワクつくって生きていく」

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