桜蔭高校出身の超エリート東大生の実態に迫る

女子高御三家のうちの一つが私立桜蔭高校。その卒業生であるにんにんまる(仮)さんは現在文科三類の2年生。最名門校、周りも東大を目指すという世界、もちろんプラスに働くこともあれば、プレッシャーとしてマイナスになってしまうこともあるだろう。にんにんまるさん自身はこの環境をどのように振り返るのだろうか。
今の自分を作った環境
――名門の中学受験を受けているわけですが、幼いころから勉強に関して取り組んでいたことはありますか。
『平日に友だちと遊ぶことはほとんどなくて、絵の教室、プール、勉強の三つしかありませんでした。休日には海とか公園とかの自然体験に連れ出してもらってはいたんですけどね。公文には早いころから通っていて、9歳の時点で英検は3級、数学なら連立方程式は解けていました。自分では覚えていないですが、公文では『源氏物語』も読んでいましたね。』
――すごすぎますね。(笑)
『もともと文字とか本が好きで、親がよく読み聞かせをしてくれたんですが、親が忙しくなってからは自分で読むようになりました。だから、言語能力の発達は他の子比べてだいぶ早かったと思います。』
――親御さんがいろいろしてくれたんですね。
『そうですね。子どものころなんて、自分から勉強しよう!みたいな内発的なモチベーションなんてないじゃないですか。だから、親が学習環境が整った場をいろいろと用意してくれたのは、能力を育むうえではよかったと思いますし、そのおかげで今の自分があることは間違いないですね。』
――では、東大を意識したのも早かったですか。
『意識し始めたのは、中学受験のためにSAPIXに通ってからで、実際桜蔭に受かってから本格的に。』
――それなら中高時代も、勉強勉強じゃないですか?
『確かにそうでしたね。でも、まず言っておきたいのは、学校生活自体は明るく楽しかったですよ!勉強が楽しいということとかじゃないですよ(笑)中学受験のときの家庭内のプレッシャーが本当に重くて、必死こいて勉強したんですよ。でも、入学後はそこから解放されてクラスメイトとは仲良く過ごしました。学校という空間ってだけで幸せでした。で、勉強のことですよね?すぐに鉄緑会に入りました。最初は良かったんですけどね。あとは聞かないでください(笑)ゲームもマンガも小さいころに禁止されていたから、別にしなかったけど、家庭科は楽しかったですね。良妻賢母を目指すという桜蔭のスタンスが反映されててレベルが高いんですよ。今まで勉強しかしてこなかった身としては「生きる術」を学べたのは新鮮で面白かったですね。』
後悔しないために突き抜けた
――実際、受験勉強はどうでしたか?周りにも多いですもんね。
『さっきも言いましたが、もともと意識はしていたところに、桜蔭という環境があったから自然と目指すようになりましたよね。だから、模試の評定が悪くても気にしていませんでした。憧れの方がずっと大きかったので。環境が環境だから勉強はするけど、「どうせ受かるだろう」と根拠ない自信があって、どこか舐めていたんですよね。出した私大はことごとく不合格で。そんな事実を突きつけられたときには完全にメンタルがやられました。母にも「お前に泣く権利はない。予備校を早く探しなさい」と言われたときにはもう(笑)』
――メンタルが…。
『超大事です(笑)』
――浪人時代はどのように?
『結果東大に受かったからよかったものの、併願の私立に落ちたときは辛かったですね。上智は補欠だし、早稲田の政経と商学部は受からず、慶応の商学部だけ合格。母から「受かりそう?」と聞かれるのですが、それが嫌で「まあまあ」と答えると、「中途半端な答えはいらない」と叱られるという。「結果も出さずに何をしているの」と言われたりもしたけど、これが親なりの叱咤激励なんです。お金も出してくれたし、怠けずにも済みました。一見ただただ厳しいだけの言葉のようですが、しっかりと受けとめて善処に努めたから乗り切れました。』
――ほかに応援してくれた人はいますか。
『予備校の校舎長ですね。勉強は好きだったし、モチベーションもしっかりあるけれど、それだけではダメだと教えてくれました。あと、受験に関して色々なテクニックを教わりました。本当に優しかった。校舎長と話していると、心が落ち着くというか、精神が安定しました。あ、あとはモーニング娘。ですね。「この子たちも頑張っているんだ!」と思うと自分も頑張れたんです。』
――ここまで振り返って、受験は環境か本人の努力か、どっちだと思いますか。
『強いて言えば努力ですね。環境を言い訳にしたら誰も得はしないし、むしろ環境は自分から切り拓いていくものじゃないですかね。世間一般でいいと言われているものが本当に万人にとって、あらゆる場面でいいということはないと思っていて。困難だらけの環境の方が大きな成長を可能にすることもあるかもしれない。一概に捉えることはできないと思います。』
――では最後に、体験記読んでくれた人にひとこと!
『自分のしたいことをするべきです。周囲から止められても突き抜けてください。生きていくにはこれくらいのモチベーションが必要です。中途半端だと後悔してしまうので。あと、周囲には自分が思ったよりもいい人がたくさんいます。もし、いやだなと思う人がいても、それはその人の一面に過ぎませんからね。』
おわりに
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執筆:小川護央
編集:ニシヤマミオ、遠藤和真